記事の監修者
山下 裕貴
株式会社日本テレアポセンター 代表取締役
テレアポ・インサイドセールス領域において、スタートアップから上場企業まで多数の企業の営業支援を手掛ける営業代行・テレアポの専門家。
現場視点に基づいた再現性の高いノウハウを活用し、単なるアポイント獲得にとどまらない、成果につながる営業体制づくりを支援している。
「営業代行に興味はあるが、失敗した話も聞くので踏み切れない」「頼んだあとに後悔したくない」。営業代行の利用を検討する担当者の多くが、依頼の直前でこうした不安に立ち止まります。実際、営業代行には知らずに契約すると後悔につながるデメリットがあるのも事実です。
一方で、矢野経済研究所の「BPO市場に関する調査」によると、営業分野を含む国内BPO(業務の外部委託)市場は、2024年度で5兆786億円と前年度比4.0%も増加していることがわかりました。営業活動を外部に任せる選択はすでに珍しいものではなくなっています。利用が広がった今、成果を分けるのは「リスクを理解したうえで契約したかどうか」です。
本記事では、営業代行の代表的なデメリット5つを、発生する理由と契約前にできる回避策とセットで解説します。読み終えるころには、自社が営業代行で失敗しないために何を確認すべきかを判断できる状態になります。
営業代行で後悔しやすい5つのデメリット
営業代行のデメリットは、起こるタイミングごとに次の5つに分けられます。
- 契約時:費用対効果が見合わない
- 運用中:営業活動の中身がみえない
- 運用中:訴求がずれる
- 運用中:情報漏えいのリスクが残る
- 契約終了後:営業ノウハウが自社に残らない
ただし、これらのデメリットは営業代行という仕組みそのものの欠点ではなく、事前に取り決めをしておけば防げるものです。
以下では、5つのデメリットと回避策を発生するタイミングの順に解説します。
費用対効果が見合わないことがある
最初のデメリットは、契約の時点でほぼ決まってしまう費用対効果です。営業代行の費用は、固定報酬型で80万円/人月前後(時給換算5,000円 × 160時間 + 税)、アポイント獲得ごとに支払う成果報酬型で1件3万円前後が相場です。
固定報酬型では、アポイントが何件取れても毎月同じ費用が発生します。獲得数が一定の水準を下回り続けると、アポイント1件あたりの実質コストが成果報酬型の水準を大きく上回り、割高な契約になってしまう構造です。
費用対効果が見合っているか判断する目安となるのは、固定費をアポイント単価で割る「費用分岐」の試算です。月額80万円をアポイント単価3万円で換算すると、月27件前後のアポイント獲得が分かれ目となります。
契約前にこの試算を自社に置き換えて行うと、商材単価や想定アポイント数に見合う契約形態を選べます。
営業活動の中身がブラックボックス化しやすい
契約後の運用に入ってから問題になりやすいのが、活動内容のみえにくさです。報告のルールを決めないまま稼働が始まると、どんなトークで何件架電しているか、なぜアポイントにつながらないのかが発注側からみえなくなります。改善を議論しようにも、材料となるデータが手元にない状態に陥ります。
ブラックボックス化を防ぐには、架電数・アポイント率・商談化率といった指標を共有してもらうことが重要です。これらの指標をレポートで追えれば、数字の推移から改善点を特定できます。実務では、日報に加えて定例会を設け、架電ログや先方の反応データを共有フォーマットで随時更新していく進め方が標準的です。
こうした共有指標・定例での改善サイクル・報告頻度については、稼働が始まってからではなく契約条件として合意しておくとよいでしょう。
商材理解が浅いまま訴求がずれるリスクがある
活動内容がみえていても、トークの中身が商材からずれていては成果につながりません。特に説明難度の高い商材ほど、理解が浅いまま営業活動が進むと訴求がずれるリスクは高まります。
ずれが生じやすい背景には、契約の構造があります。営業代行は業務委託契約であり、厚生労働省の疑義応答集(労働者派遣事業との区分に関する37号告示関係)でも示されているとおり、発注側が代行会社の現場スタッフへ直接指揮命令することはできません。気になる言い回しをその場で直す、といった関わり方はできない前提があります。
だからこそ、キックオフでの商材研修やトーク内容を定期的にレビューする場を、契約範囲に含めておくことが重要です。あらかじめ回避策を組み込んでおけば、直接の指示によらずに訴求の精度を保てます。
情報漏えいリスクをゼロにはできない
運用中のリスクとして、情報管理も外せません。顧客リストや商談情報を外部の会社と共有する以上、情報漏えいの可能性を完全にゼロにする方法はないのが実情です。
これは営業代行に限った話ではありません。東京商工リサーチの「上場企業の個人情報漏えい・紛失事故」によると、2025年に上場企業とその子会社が公表した個人情報の漏えい・紛失事故は、180件・約3,063万人分にのぼります。情報管理は、どの企業にとっても向き合うべき経営リスクです。
発注側にできるのは、リスクを管理可能な状態に変えることです。NDA(秘密保持契約)の締結に加え、情報の管理ルールや従業員教育といったセキュリティ体制を確認し、それらを契約の前提条件とすれば、リスクは大きく抑えられます。
営業ノウハウが自社に残らず内製化が遠のく
5つ目は、契約終了後に表面化するデメリットです。運用を任せきりにすると、現場で得られた反応データや成約パターンは代行会社側だけに蓄積され、契約が続くほど依存が深まります。将来の内製化を視野に入れる企業にとっては見過ごせない問題です。
ノウハウ移転の成否を分けるのは、発注側の関わり方です。移転がうまく進むのは、社内に担当者を置き、定例の振り返りや改善の議論に一緒に入っている企業です。反対に、運用を丸投げするスタイルでは、知見は社内に残らず内製化は遠のきます。
関わり方に加えて、データの持ち方も契約前に設計しておきたいポイントです。一般的な取り組みとしては、CRM(顧客管理システム)と連携して商談データを自社側にも蓄積する、契約時に内製化までのロードマップを共有しておく、といった事例があります。外注している期間を自社の営業力を育てる助走期間に変えられるかどうかは、この事前の設計にかかっています。
そもそも営業代行にどんな業務をどこまで任せられるのか、仕組みや費用を含めた全体像は、以下の記事で解説しています。
「営業をあと1人採用したいのに応募が来ない」、「新規開拓に手が回らず売り上げが頭打ちになっている」。 営業代行を調べ始めた方の多くが、こうしたリソース不足の悩みを抱えています。とはいえ、何をどこまで任せられるのか、費用はいくらかかるのか、テレアポ代行と何が違うのか、初めてではわからないことだらけで...
デメリットの回避策を自社だけで実行しきれない理由
5つのデメリットの回避策は、内容だけをみれば特別に難しいものではありません。ただし、費用分岐の試算・報告体制の管理・商材研修の設計などはいずれも、実行するには営業マネジメントの知見と、それを続ける工数が必要です。デメリットを避けられるかどうかは「回避策を知っているか」ではなく「自社で実行しきれるか」で決まります。
実務で回避策を実行できない企業には共通点があります。「営業の専任担当がおらず兼務で回している」「テレアポのKPI設計や数値の見方・改善アクションの知見がない」「商材の強みを言語化できていない」などです。営業組織やノウハウを社内に持たない企業ほど外注の必要性は高いのに、リスクを下げる作業そのものが負担になってしまう構造にあります。
この負担は、発注側の努力だけで解消できるものではありません。回避策の実行まで含めて任せられる依頼先を選ぶことが、現実的な選択肢になります。
回避策の実行まで任せられる営業代行会社を見極める3つの条件
回避策の実行まで任せられる会社かどうかは、報告体制・商材研修・ナレッジ共有の3つが代行業務に含まれているかで見極められます。具体的には、日報と定例会で活動内容が共有されるか、キックオフで商材の特徴・想定FAQ・NGトークをすり合わせる工程があるか、架電ログや反応データを共有フォーマットで随時受け取れるか、の3点です。これらが業務に含まれていれば、発注側の管理負担を抑えたままデメリットを避けられます。
テレアポセンターの営業代行サービス「ゲットリード」は、日報と週次1回の定例による報告・キックオフでの商材やFAQのすり合わせ・架電ログの共有を標準的な進め方としています。加えて、スクリプト・資料・Q&A・ロープレ録画などのナレッジ共有環境を整え、発注側の管理負担を抑える工夫をしています。
回避策を自社だけで実行しきれないと感じた場合は、以下のページで進め方と対応範囲を確認してみてください。
▶完全成果報酬型テレアポ代行「ゲットリード」
まとめ|営業代行のデメリットは契約前の設計で回避できる
営業代行のデメリットは、どれも契約前の取り決めで防げます。必要なのは特別な対策ではなく、契約前に決めておく項目を押さえておくことです。その項目を、デメリットごとに次の表で確認しておきましょう。
| デメリット | 契約前にできる回避策 |
|---|---|
| 費用対効果が見合わない | 固定費をアポイント単価で割って費用分岐を試算し、商材に合う報酬形態を選ぶ |
| 営業活動の中身がみえない | 報告頻度・共有する指標(架電数・アポイント率・商談化率)・定例の改善サイクルを契約条件にする |
| 訴求がずれる | キックオフでの商材研修とトーク内容の定期レビューを契約範囲に含める |
| 情報漏えいのリスクが残る | NDAの締結とセキュリティ体制の確認を契約の前提条件にする |
| 営業ノウハウが自社に残らない | 社内に担当者を置いて定例に参加し、商談データを自社側にも蓄積する |
この回避策を自社だけで進めるのが難しい場合は、報告体制・商材研修・ナレッジ共有を最初から業務に組み込んでいる代行会社を選ぶ方法があります。デメリットがあるから見送るのではなく、契約前に何を決めておくかを押さえたうえで、営業代行を検討してみてください。